What's MIRRORCLE 2

MIRRORCLE 基本原理

■   原理

MIRRORCLEは、加速器マイクロトロンと蓄積リングにより構成されています。マイクロトロンは、電子を発生させ、設定されたエネルギーまで電子を加速します。下の図は6MeVまで加速されたMIRRORCLE-6Xのモデル図です。加速された電子は、蓄積リングへ入射し、蓄積されます。リング内を周回する電子の軌道上に、ターゲットを置くことによりハードX線を発生させる仕組みです。これは、制動放射という原理に基づいています。また、ターゲット材質を選択することにより遷移放射という原理に基づきEUVの放射がおこります。ターゲットを挿入しない場合は通常のシンクロトロン放射が起こります。6MeVモデルではFIR(遠赤外線)にあたります。
放射光装置MIRRORCLE

■   マイクロトロン

電子銃は、高周波加速空洞に内蔵されており、発生した電子を空洞内の高周波電場により加速します。加速に必要な高周波パワーは、非常に小型で高出力なパルスクライストロンにより発生します。電子は、マイクロトロン内の一様磁場中を旋回し、加速空洞内を通過する度に加速し、その軌道は徐々に大きくなります。そして、いったん電子がマイクロトロンの設定エネルギー(電子の最大軌道)に到達すると、電子は出射ポートから取り出され蓄積リングへ入射されます。原理は特別なものではありませんが、位相のよくそろった単一エネルギーの電子ビームは線形加速器等では得られません。

■   蓄積リング

蓄積リングは、世界最小リングを達成するために、これまでに培った特殊技術を用いています。蓄積リングは、電子軌道全周にわたり磁場を作るために、一対の弱収束型常電導電磁石を使用しています。その結果、電子軌道は完全円形となっています。
ビームの寿命が数時間もしくは数日である従来のシンクロトロンとは異なり、MIRRORCLEの電子ビーム寿命は短いといえるかもしれません。しかしながら、MIRRORCLEは、1kHzのトップアップ運転を行いますので、平均1Aという電流値を達成しています。
安定周回軌道上へ電子を取り込むために、蓄積リングの中にパータベータと呼ばれる摂動パルス磁場を使用するという点です。パータベータは、蓄積リングへ入射された電子の軌道を徐々に修正し、安定周回軌道に導く役割を持っています。パータベータが無いと、蓄積リングへ入射された電子は、リング内を二周もしない間に飛び出してしまいます。このパータベータにより、巨大なシンクロトロン装置の小型化が実現しました。 20及び6MeV MIRRORCLEでは、蓄積リングにも、高周波加速空洞が装備されています。加速空洞は、電子がリング内を周回している間、電子のエネルギーを一定に保ち、電子が失ったエネルギーを補充する役目をもっています。マイクロトロンの加速過程、パータベータによる入射過程、リング加速空洞は、蓄積リングの操作を効率的に行えるように、3つの装置を同期運転しています。蓄積リング内を安定に周回している電子は、ディスク状で周回しています。また、8つのバンチを形成して周回しています。

放射光


電子ビームのプロファイルををサーモグラフで観察しました。下の画像をクリックし、動画ファイルをご覧下さい。

beam
(WMV file)

はじめ、パータベータのみが働き、加速されていない状態では、電子ビームはブロードです。RF電圧を入れた後15ミリ秒で、放射ダンピングによる電子ビームの収束が観測されます。入射している事により、ビーム形が非常に安定してる事が分かります。ビームサイズは数ミリになります。

■   MIRROCLEのX線発生

MIRRORCLEでは、高エネルギー電子を数ミクロンの微小ターゲットに衝突させて制動放射を発生させることで、高輝度X線を得ることが出来ます。電子は高エネルギーであるためにターゲットを通過し、電子蓄積リングを周回し続け、再び衝突することが出来るため、X線の変換効率が極めて高くなります。さらにMIRRORCLEから発生するX線は、放射光よりも小さい光源サイズを持っています。

MIRRORCLE

放射光は磁場で電子軌道を曲げてX線を発生させます(放射光のX線発生機構の図)。放射は、相対性理論により前方に集中します。しかし、硬X線を発生するには、8GeV近くの電子エネルギーを必要とします。従って通常の放射光装置は極めて巨大になります。

放射光
線形加速器を用いて硬X線を発生することも出来ます。しかしこの場合は多重散乱が生じるため、
  1. 光源が大きくなる
  2. 放射角が広がる
という現象から輝度が低下します。

制動放射

さらに管球は、最も手軽に実験室で用いることのできるX線源の一つですが、MIRRORCLEと比較すると下記の点で性能が劣ります。
  1. 光源が大きい。分解能が悪い。
  2. X線の放射は全方向。光子密度が低い。
  3. 低エネルギーX線しか用いることができないため、透過能が低い。
  4. 拡大撮影が困難。

■   遠赤外線(FIR)発生装置としてのMIRRORCLE

PhSR(Photon Storage Ring, 光蓄積リング) と呼ばれる新しい遠赤外線発生機構を用います。 電子軌道と同心に配置された完全円形の樽型ミラーにより、電子軌道全周からの放射光を集光し蓄積する新しい放射光装置です。 電子軌道全周から出た光は、ミラーで反射され、リング内を周回している電子と連続的に相互作用をしながら周回して遠赤外線強度を増幅します。いわゆる自由電子レーザーです。そのためミラーの出射スリットから放射される遠赤外光(FIR:Far Infrared Region)は、単色化し、数桁のオーダーで増加します。
現在は、レーザー発振をさせない幅の広い遠赤外線が、吸収分光には優れていると実感しているため、レーザー発振をさせないで、光を単に集光することにより様々な分析を行っています。水や蛋白質などの分析に適しています。

FIR

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